『となりの億万長者』書評|FIREを目指すなら知っておきたい「本当の資産家」の思考と習慣
はじめに:なぜ「となりの億万長者」なのか?
FIREを目指す人にとって、「お金持ち」とは一体どんな存在でしょうか?
高級車を乗り回し、六本木のタワマンに住み、ブランド品を身にまとっているイメージでしょうか?
私もかつてはそうでした。
でも『となりの億万長者(原題:The Millionaire Next Door)』を読んだとき、そのイメージは粉々に崩れました。
この本が教えてくれるのは、「お金持ち=派手で高収入な人」ではなく、
本当に裕福な人は、意外と質素であなたのすぐ隣にいるかもしれないという現実です。
FIREを目指すあなたにとっても、この本はただの「お金持ち観察本」ではありません。
それは「資産を築く思考」「習慣」「価値観」のガイドブックであり、自分自身の現在地を見直す“鏡”のような一冊です。
書籍の概要|アメリカの実態調査に基づく「億万長者の真実」
『となりの億万長者』は、米国の資産家たちに実施した大規模な調査をもとに、彼らの共通点を浮き彫りにしたノンフィクションです。
著者であるトマス・J・スタンリーとウィリアム・D・ダンコは、
高年収の人々と真の資産家たちとの間にある「決定的な違い」を明らかにしました。
「多くの資産家は、質素倹約を美徳とし、地味に暮らしている」
私たちが「金持ちっぽい」と思っていた人物像は、実際には見せかけのお金持ち(ハイアーン)に過ぎなかったのです。
この本には、FIRE(経済的自立・早期リタイア)を志す人が学ぶべきヒントが無数に詰まっています。
キーワード:FIREを支える「真の富」とは?
FIREという言葉は、「早く引退して遊んで暮らす」ように聞こえがちですが、本質は違います。
それは「自由に生きるための選択肢を持つこと」です。
そしてそのためには、単なる高年収ではなく、純資産(Net Worth)を増やす力が求められます。
この本では「真の富」とは、こう定義されます:
- 高収入ではなく、高蓄財率
- 高級品ではなく、コスト意識
- ブランドではなく、価値基準
つまり、「お金をどう稼ぐか」よりも、「どう使うか」「どう残すか」が富の本質なのです。
FIRE目線での「となりの億万長者」の重要ポイント7選
1. 年収より「蓄財率」がすべて
収入が高くても、支出も高ければ資産は増えません。
重要なのは、収入に対してどれだけ貯めているか(蓄財率)です。
FIRE達成者や富裕層の多くは、手取りの25〜40%以上を資産形成に回しています。
これは「給料の2割を投資に回している」私自身の戦略とも一致しています。
2. 「目立たない人」が実は金持ち
調査によると、多くの資産家は:
- 普通の住宅地に住み
- 国産車を中古で買い
- 値引き交渉を欠かさない
つまり、質素で目立たず、身の丈に合った生活をしているのです。
これは、派手さではなくキャッシュフローを重視する私の不動産投資戦略にも通じます。
3. 消費=浪費ではなく、「投資思考」を持て
資産家は消費にも目的を持っています。
例えば、教育、健康、時間の確保など。
つまり「未来の自分にリターンが返ってくる出費」を優先するのです。
これは、FIRE戦略における「浪費を削って投資に回す」スタンスと一致します。
4. 自営業者が多いのはなぜか?
資産形成に成功している人の多くが「ビジネスオーナー」であることにも注目しています。
理由は明確です:
- 所得の上限がない
- 節税の選択肢が広い
- 資産を法人として守れる
私も今後、法人設立による不動産戦略に踏み切ろうとしていますが、まさにこの本の内容とリンクします。
5. 子どもに残すお金より「金銭教育」が大事
億万長者たちは、子どもに際限なく金銭支援をしません。
むしろ、自立と節約の精神を育てることに注力しています。
これは、FIRE後の生活や、子どもへの影響を考える私にとっても、大きな示唆でした。
6. 予算管理とキャッシュフロー意識が抜群
資産家の家庭では、年間の支出計画を立て、数円単位での管理も厭いません。
この姿勢は、私の「月間キャッシュフロー120万円」のKPIにも通じています。
7. ブランドに依存しない「セルフイメージの強さ」
資産家は、ブランド品で自分を飾る必要がありません。
時間や自由を中心にした人生設計に価値を見出しているのです。
実体験とリンクした「気づき」
私がこの本で一番衝撃を受けたのは、稼ぐ=豊かと錯覚していたことでした。
「収入がある=資産が増えている」と信じていたのです。
でも本当に重要なのは、残す力・使わない力・習慣化する力だと気づきました。
この本の「良かった点」と「気になった点」
✅ 良かった点
- データと実例が豊富で納得感がある
- 派手な成功談ではなく、地に足のついた内容
- 「FIRE体質」を作るマインドセットが学べる
❌ 気になった点
- アメリカの税制度や医療制度に依存する話もあり、すべてを鵜呑みにできない
- 後半はやや冗長に感じる部分がある
こんな人におすすめ
- FIREを目指して資産形成をしている人
- 高収入だがなぜか資産が増えない人
- 家族にもお金の価値観を伝えたい人
- 「お金の使い方」に悩んでいる人
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FIRE戦略とつなげて:この本をどう活かすか?
この本を読んでから、私はFIRE戦略に以下の変更を加えました:
- 「可処分所得の最大化」→「蓄財率の最大化」へ
- CF重視の地味な物件に投資方針を修正
- 支出構造と習慣の評価も家計管理に導入
FIREは、投資だけでも、倹約だけでも、片手落ちです。
“FIREできる体質”を作るには、マインドと習慣の転換が必要です。
まとめ|“となり”でFIREを目指すあなたへ
『となりの億万長者』は、私たちにこう問いかけてきます。
「あなたの資産は、あなたの収入に見合っているか?」
FIREを目指すうえで、自分が「資産形成型」なのか「浪費型」なのか、
見直すタイミングとしてこの本は最高の1冊です。
あなたの「となり」には、今日も静かに資産を築き続けている人がいるかもしれません。
そして、あなた自身が“となりの億万長者”になれる日も、そう遠くはありません。